映画『スパイダー/増殖』
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映画『スパイダー/増殖』

クモに、殺される。
監督・脚本:セヴァスチャン・ヴァニセック/出演:テオ・クリスティーヌ、ソフィア・ルサーフル、ジェローム・ニール、リサ・ニャルコ、フィネガン・オールドフィールド
      2023年/フランス/106分/2.39:1/フランス語/原題:Vermines/カラー/5.1ch/ 字幕:大塚美左恵/配給:アンプラグド © 2023 MY BOX FILMS – TANDEM All Rights Reserved
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スティーヴン・キングとサム・ライミが絶賛し震撼。過去20年間のフレンチ・ホラー最大のヒット!
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Introduction

本物のクモ、 完成された絵コンテ、 効果的なサウンド──

スティーヴン・キング、サム・ライミも 高く評価する次世代ホラー

絶叫必須&スリリングなパニック・ホラーを手がけたのは、新進気鋭の監督セヴァスチャン・ヴァニセック。衝撃のデビューを果たした本作は、過去20年間のフランスでのホラー映画で初登場第1位を記録し、約27万人を動員する大ヒットとなった。初の長編作ながらも、第79回ヴェネチア国際映画祭の監督週間でワールド・プレミアが行われ、第49回セザール賞では新人監督賞と視覚効果賞にノミネート。第56回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭 審査員賞を受賞、横浜フランス映画祭2024の上映作品にも選ばれた。また、ロッテントマトでは96%をたたき出し(2024.9.19時点)、ホラーの帝王スティーヴン・キングは「恐ろしく、気持ち悪く、よく出来ている」と大絶賛。さらに『死霊のはらわた』(81)、『スパイダーマン』シリーズを手掛けたサム・ライミ監督からは「登場人物たちを興奮と緊張に引き込み、モンスター・ムービーを蘇らせた」という高評価とともに『死霊のはらわた』シリーズのスピンオフ作品の監督・共同脚本のオファーを受け製作が決定。

また、ヴァニセック監督は絵の才能にも長けており、カメラワーク、キャラクタービジュアルなど絵作りのアイデアは全て自身がシナリオに書き込み、限られた予算とシチュエーションの中で鬼気迫る画作りが実現した。撮影では本物のクモ200匹とVFXを融合させ、クモのスピーディーでリアルな動きを再現。それに重ねるサウンド効果で不穏さや恐ろしさを最大限に引き寄せた。

逃げ場も慈悲も希望もなく 絶望感が押し寄せる

毒グモとの死闘を軸にあぶり出される 人間社会のおそろしさ

本作は、毒グモの恐怖に怯える人間たちの姿を描くだけではない。舞台となる円形のアパートメントは、パリ郊外に実在するピカソ・アリーナという公共住宅であり、ヴァニセック監督も同じエリアで育つ。監督自身の経験も踏まえ、移民や低所得者が多く住む郊外(バンリュー)に対する都市部からの差別問題を、外見で判断され忌み嫌われるクモと、出身地だけで判断される郊外出身者との間に類似点を見出し、本作の構想に取り掛かったという。バンリュー(フランス語で「郊外」という意味)を舞台にした映画で、マチュー・カソヴィッツ監督の『憎しみ』(95)は、監督自身も大きく影響を受けたと語っている。

原題の『Vermines』は“害虫”を意味し、監督は本作についてこう語る。「この映画は、現代社会の価値を問うナチュラル・ホラー映画です。作品中の毒グモは、郊外に住む貧しい人々や、何らかの理由で差別されてきた人々を喩えています。自分たちの生活区域から一歩外に出ようとすると、彼らは害虫扱いされます。そして怒りや憎しみが増大していくのです。これは、私の内面を映し出した映画でもあります。私が知る郊外の町を描いたこの作品は、観客の心を捉え、考えるきっかけを与えるでしょう」

Story

パリ郊外。

団地で暮らす
エキゾチックアニマル愛好家の
カレブはある日、
珍しい毒グモを入手。

しかし、クモは脱走してしまい
瞬く間に繁殖・増大し、
次々と住民たちに襲い掛かる。

謎のウィルスが発生したと
判断した警察によって
建物は封鎖されてしまい……。

Director

Sébastien Vanicek
監督・脚本

1989年生まれ。映画監督。

フランスのパリ郊外で育つ。幼いころから絵を描くのが好きで、特に漫画が得意だった。15歳のとき、父親のビデオカメラを盗んで昆虫の撮影を始めた。編集や音響の重要性を知り、同じく映像の世界に興味を持っていた友人たちと一緒に短編映画を作る。その後、数々の短編映画賞を受賞。2023年に、初の長編映画『スパイダー/増殖』で、社会の歪みに疑問を投げかける。サム・ライミ監督プロデュースの『死霊のはらわた』シリーズのスピオンオフ作品(タイトル未定)の監督・共同脚本に選ばれ製作が決定。

  • フィルモグラフィー
  • ・『HOLO(原題)』(22)
  • ・『PAS BOUGER(原題)』(21)※YouTubeとInstagramで100万回再生
  • ・『CROCS(原題)』(18)
  • ・『MAYDAY(原題)』(15)
  • ・『スパイダー/増殖』(23)

Cast

Théo Christine
カレブ役

1996年生まれ。フランス出身の俳優。

フランスの演劇学校Cours Florentで学ぶ。その後、数々のテレビドラマに出演。映画では、アントニー・マルシアーノ監督の『PLAY 25年分のラストシーン』(19)、ドゥーグラス・アタル監督の『スーパーヒーローへの道』(20)などに出演。2021年には、オードリー・エストルーゴ監督による、フランスのヒップホップユニット「シュプレームNTM」の黎明期を描いた作品『Suprême(原題)』(第74回カンヌ国際映画祭ミッドナイト上映)でジョーイ・スター役を演じる。ジュリアン・ギルビー監督の長編映画『Summit Fever(原題)』(22)に出演。2023年には、ニール・ブロムカンプ監督の大作『グランツーリスモ』に出演し、国際的な活躍ぶりを見せた。

2024年、セヴァスチャン・ヴァニセック監督の長編映画『スパイダー/増殖』にて主演を務めた。

Finnegan Oldfield
ジョルディ役

1991年、パリ生まれ。フランス系イギリス人俳優。

2003年、12歳のときにジェラール・モルディラ監督のテレビ映画『L'Île Atlantique(原題)』で主役を演じる。トマ・ビデガン監督の映画『Les Cowboys(原題)』(15)で演じたキッド役で一躍脚光を浴び、第42回セザール 有望男優賞にノミネートされた。

その後、活躍の幅を広げ、エヴァ・ユッソン監督の『青い欲動』(15)で主役のひとりを演じ、アンヌ・フォンテーヌ監督の『マーヴィン、あるいは素晴らしい教育』(17)では、第44回セザール賞 有望男優賞にノミネートされる。その後は、『La terre des hommes(原題)』(20)、『GAGARINE/ガガーリン』(20)、『キャメラを止めるな!』(22)、『エリザベート1878』(22)など様々なジャンルに出演。

Jérôme Niel
マティス役

1985年生まれ。フランス出身の俳優、ビデオアーティスト、コメディアン。

2008年に開設したYouTubeチャンネル「La Ferme Jérôme」(チャンネル登録者数111万人)では、ユーモア溢れる動画やパロディ、独創的なパフォーマンスにより一躍有名になった。

さまざまなTVシリーズに出演し、2018年Studio Bagel制作の「Groom(原題)」にて主演を務めた。2016年から2017年までCanal+のコメディ番組「Balek!(原題)」でホストを務めた経験もある。

最近はYouTubeやテレビ以外にも活躍の場を広げ、ワンマンショーやカンタン・デュピュー監督の『Rupture pour tous(原題)』(16)、『Le manoir(原題)』 (17)、『ロストブレット2』 (22)、『タバコは咳の原因になる』(22)、『Daaaaaali!』(23)に出演。

Lisa Nyarko
マノン役

1996年、フランス出身の俳優。

幼い頃、兄弟姉妹たちと一緒に短編映画を製作し、その後、演技への情熱を見出す。

2019年、故郷のリールを離れてパリの劇団LABECに入り、インプロ(即興)ワークショップや様々なアートプロジェクトに参加。

2021年、パリ郊外のアートスクールÉcole Kourtrajméの俳優部門に選抜され、数か月後には、セヴァスチャン・ヴァニチェク監督の『スパイダー/増殖』のマノン役に選ばれた。

Sofia Lesaffre
リラ役

1997年生まれ。フランス出身の俳優。

2011年、ドゥニ・ティボー監督の『Les Mythos(原題)』で映画デビューを果たす。2014年にはディディエ・ブルドン監督&ベルナール・カンパン監督の『Les trois frères, le retour(原題)』 で女性主人公を演じ、セザール賞有望女優賞の事前選考を受ける。その後、ダヴィッド・モロー監督の『アローン』(17)、ラジ・リ監督の第72回カンヌ国際映画祭 審査員賞受賞作『レ・ミゼラブル』(19)にも出演した。

ジュリアン・ルクレルク監督の『土と血』(20)、Netflixドラマシリーズ「ギャングランド:抗争地帯」(21)に出演。

その後は、レティシア・カスタ、カトリーヌ・ドヌーヴ共演、ブノワ・マリアージュ監督の『Habib, la grande aventure(原題)』(22)、ヴィルジニー・エフィラ共演の『Revoir Paris(原題)』(22)に出演。

Comment

伊藤潤二
漫画家

あの放射状の姿だけで嫌なのに、
猛スピードで走り回り、猛毒と異常な増殖で無敵の厄災を撒き散らすクモの群れ!
アパートの薄暗さがさらに恐怖を増長させる。最初から最後まで怖いわ気持ち悪いわで目が離せませんでした。
それにしてもあのクモは一体なんだったのだろう?

氏家譲寿(ナマニク)
映画評論・文筆家

踏むと子グモが散らばる!放っておくとデカくなる!噛まれると苗床にされる!
クモが好きでも嫌いでも“虫唾”が迸る。 だが、異なる人種の人々が協力、友情と築きながら絶望的な状況に立ち向かう姿に胸が沸く。 クモに対する“虫唾”と異人に対する“理解”の対比に強烈な皮肉を感じる、知的さも感じる凶悪かつ知的なクモ映画に感服だ。

小島秀夫
ゲームクリエイター

蜘蛛が益虫である事は知っているし、子供の頃から、スパイダーマンも好きだった。 この手の“蜘蛛パニック”映画も沢山観てきた。 しかし、このフランス産”スパイダー“はヤバい。猛烈にキモい。
造形も大きさも動きも、その繁殖能力にもゾッとする。 鑑賞中、身体中がずっと痒かった。
パリ・オリンピック開催後の今観ると、風刺が効いていて、さらに痒い。 猛毒性の蜘蛛映画だ。

サイプレス上野
ラッパー

果たして自分があの状況に陥ったら家族や仲間を助けられるか…でも逃げたい! 日本のことわざに習い、なるべく蜘蛛は駆除しないようにしてますが、ちょっと考えちゃいました(可哀想だけど)
同じ様に団地で暮らし、全く同じ様な飼育部屋を作り上げてた友達の兄貴を思い出しつつ、やっぱHIPHOPがハマるよな〜ってブチ上がりました!

陣野俊史
フランス文化研究者・作家

増殖しつづけるクモはたしかに怖い。
だが画面を見続けながら考えていたのは、外からやってくる存在を、私たちは理不尽に怖がっていないか、ということ。 そして、眼をみはるのは、警察の非情さと対比される、郊外の、老朽化した団地に住む者たちの、希望の虹のような連帯と愛情だ。
フランスの郊外(バンリュー)映画の系譜に、またひとつ、気になる映画が加わった。

SCANDAL RINA
ミュージシャン

クモの巣の真ん中に閉じ込められたような絶望感と閉鎖感。
不規則なタイミングで飛び込んでくる映像に新鮮な恐ろしさがあった。
シンプルにビッグサイズのクモの群れ怖すぎる。 絶体絶命、取り扱い注意のパニックホラー。
真っ暗な映画館でぜひ。

土岡哲朗
お笑い芸人

蜘蛛の怖さを的確にホラーにし過ぎている!
あのゾッとしてしまう蜘蛛のビジュアルと動き方。 それがそのままホラーになると気づいてしまった監督。
こんなに怖いものを容赦なく見せてくるなんて、人でなし……。
主人公は、自分の暮らすアパートへの思いが強い青年。
しかし、そこに危険な蜘蛛を持ち込んでしまいパニックに。
大切な場所に閉じこもることはもうできなくなった彼は、変われるのか。

中田兼介
クモ研究者・京都女子大学教授

数あるクモ映画のなかで本作は、素のクモで勝負しているのがポイント。
遺伝子操作や化学物質でモンスター化するのでなく、(少し成長しますが)超巨大化とも無縁です。
能力が盛られている面はあれど、歩き方などリアルで、何よりやたらと人間を敵視しているわけではないのが素晴らしい(現実のクモも人間に対して積極的に攻撃はしません)。
クモたちは、彼ら彼女らを疎む人間に反応しただけで、ある意味被害者です。
警察から不当に扱われる主人公たちと重なります。
クモは裏の主人公かも。