映画『ヒトラーの毒見役』メインビジュアル
ヒトラーの毒見役
世界的ベストセラーを映画化
食べて死ぬか、撃たれて死ぬか
2026年7月31日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

ヒトラーの〝食卓〟はもう一つの〝戦場〟だった。

INTRODUCTION イントロダクション

飢えと恐怖に震えながら毒見する
若き女性たち

第二次世界大戦末期、
総統大本営で行われた
知られざる真実

2012年、「私はヒトラーの毒見役だった」と告白し、世界中を驚愕させたドイツ人女性マルゴット・ヴェルクの証言に基づく物語。彼女はヒトラーの協力者とみなされることを恐れ、長い間自分の過去を誰にも語らずにいたが、晩年になって打ち明けた。戦後67年も経て明らかになった新事実。これはナチスに運命を翻弄された、名もなき女性たちの衝撃的な実体験である。

舞台は戦場ではなく、戦時下を生きぬく女性の日常。戦争を女性の視点から捉え、死への恐怖と飢えの中で揺れ動く彼女たちの関係性を描く。

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STORY ストーリー

1943年、第二次世界大戦末期。
ベルリンの爆撃を逃れ、義両親のいる田舎町で戦地にいる夫の帰りを待つローザ。その場所は“狼の巣”と呼ばれる、ヒトラーの総統大本営「ヴォルフスシャンツェ」がある森の近くだった。
ある日、彼女はヒトラーの毒見役に命じられ、他の若い女性たちとともに、親衛隊から銃を突き付けられながら食事をすることに。
ヒトラーが食す最高の料理を、死と隣合わせの最悪な状況で口にする苦悩の日々。
そして1944年7月、総統大本営でヒトラー暗殺を狙うクーデター(7月20日事件)が勃発。
戦局が混迷を極める中、彼女たちの運命は──。

DIRECTOR 監督

監督 シルヴィオ・ソルディーニ

シルヴィオ・ソルディーニ

SILVIO SOLDINI

1958年生まれ、イタリアの映画監督、脚本家。これまで数々の映画祭で評価されてきた、イタリアを代表する名匠である。1990年に長編デビュー作『L’aria serena dell’ovest(原題)』で、第43回ロカルノ国際映画祭のコンペティション部門に出品。イタリアで最も権威のある映画賞の第31回グロッラ・ドーロ賞で脚本賞を受賞するなど、大きな成功を収める。1993年には、『Un’anima divisa in due(原題)』で第50回ヴェネチア国際映画祭に出品され、主演のファブリッツィオ・ベンティヴォリオが最優秀男優賞を受賞。第34回グロッラ・ドーロ賞でも最優秀監督賞に輝いた。『ベニスで恋して』(2000)では批評・興行の両面で大成功を収め、世界各国で高い評価を獲得。2002年にはアゴタ・クリストフの小説『昨日』を原作とした『風の痛み』が、第52回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品。イタリアのアカデミー賞こと第47回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞でも8部門にノミネートされた。2007年の『日々と雲行き』は第2回ローマ映画祭で観客賞を受賞。2010年の『30日の不倫』は、第60回ベルリン国際映画祭で上映された。2017年には、視覚障害者を題材にしたドキュメンタリー『Per altri occhi(原題)』の経験から着想を得た作品で、ヴァレリア・ゴリノを主演に迎えた『エマの瞳』を第74回ヴェネチア国際映画祭で発表。『ヒトラーの毒見役』は、12本目の長編映画。

COMMENT コメント

※敬称略・五十音順

渋谷哲也

ドイツ映画研究/日本大学文理学部教授

ヒトラーの毒見役だったという女性の告白を裏付ける歴史的資料はいまだ見つかっていない。
だがそれが史実だったかはさておき、食卓を囲む一部屋にナチスドイツの戦争のリアルを収斂させた本作はユニークかつ秀逸な反戦映画である。

田野大輔

甲南大学文学部教授・ドイツ現代史

厳重に警備された総統大本営「ヴォルフスシャンツェ」内の一室で、時に銃を突き付けられながらヒトラーの食事の毒見をさせられた女性たちの物語。東プロイセンの荒涼とした寒村、コンクリート張りの冷たく無機質な食堂、野菜中心の質素で味気のない食事が、戦争の指揮を執る独裁者の殺伐とした心象風景を照らし出す。突如として司令部で大きな爆発音が鳴り響き、女性たちや周囲の村落の人たちの間に動揺が広がっていく様子は、1944年7月20日に発生したヒトラー暗殺未遂事件の描写として秀逸である。

長澤 均

服飾史家/デザイナー

登場人物の衣装の細部から家具調度品まで、ここまで歴史考証にこだわった映画がかつてあっただろうか。
デザインの再現にとどまらず、当時の織りを復元したコート、編み地のみならず傷んだほつれまで作り込んだセーターやカーディガン。
戦時の貧しい装いが際立つが、そうしたディテールが画面や物語と呼応して限りなく美しい。
レナート・ベルタの見事なカメラ、シルヴィオ・ソルディーニの行き届いた演出。細部そのものが映画全体を示した稀有な作品である。

ブレイディみかこ

ライター

食べるか?死ぬか?
その究極の状況下でひっそり息づいていたシスターフッドに胸打たれた。
こういう話がいま明かされることの時代性を考えさせられる作品だ。

マライ・メントライン

ドイツ公共放送プロデューサー

主人公たち「毒見役」は一見、理不尽に陥れられた「犠牲者」「被害者」のように見える。本人たちの主観でも同様だろう。しかし実はそんな単純なものではない。狂気の時代にて加害・被害の境界は不気味な逆説の様相を見せる。そう、本作はこれまであまり語られることのなかった、加害と被害が溶け合う「濃縮図式」ストーリーなのだ。まさに、ここでしか垣間見えないナチズム内幕の心理というものがある。そこに勧善懲悪は無い。

山崎雅弘

戦史・紛争史研究家

戦争は、兵役対象年齢の男だけでなく、全ての国民を巻き込み、それぞれに役割を与える。誰も逃げられない。平時なら異常とされる状況が、戦時では日常化し、各人は与えられた役割を真面目に果たすうち、正気と狂気を行き来する生活が当たり前となっていく。
そんな静かな不条理を、ある役割を与えられた女性たちの視点で描き出す作品。
これは、遠い世界の出来事ではない。目を凝らせば、すぐ身近にその兆しが見えている。