映画を愛する君へ
映画の誕生から現在に至るまでの名作の歴史と映画の魅力を語り尽くしたシネマ・エッセイ。
デプレシャンの日本初公開作『そして僕は恋をする』(96)でマチュー・アマルリックが演じた役ポール・デダリュスの一代記の形をとり、デプレシャンの分身ともいえるポールの映画人生を描く。
祖母に連れられて初めて映画館を訪れた6歳の時。14歳の時に16歳と偽って映画館に潜りこんだこと。
学生時代の映画部での上映会。22歳の時、大学で映画を学んだ記憶。
30歳になり人生の岐路に立つポールは、映画館でトリュフォーの『大人は判ってくれない』(59)を観て、評論家から映画監督に転身しようと決意した。
デプレシャンの自伝的な作品でありながら、誰もが共感し楽しめる物語。これは映画と映画館へのラブレターでもある。
動画配信サイトでコンテンツを消費するようになり、映画館離れが叫ばれる時代だからこそ胸に刻んでおきたい映画のレクイエム。
日本を含む世界各地の個性的な映画館も登場。
一般の観客が自らの映画体験を語るインタビューも交えたドラマとドキュメンタリーのハイブリッドな構成。
尽きることのない映画への愛に溢れた、映画好きにはたまらない一篇。