
最初の金曜日。
クールでシニカルなミンミ(アーム・ミロノフ)と、素直でキュートなロンコ(エレオノーラ・カウハネン)は同じ学校に通う親友。
放課後はスムージースタンドでアルバイトしながら、恋愛やセックス、そして自分の将来についての不安や期待にまつわるおしゃべりを楽しんでいる。
そんな中「男の人と一緒にいても何も感じない自分はみんなと違うのでは?」と悩み続けていたロンコは、理想の相手との出会いを求めて、果敢にパーティーへと繰り出す。
一方、ロンコの付き添いでパーティーにやってきたミンミは、大事な試合を前に、プレッシャーに押しつぶされそうなフィギュアスケーターのエマ(リンネア・レイノ)と急接近する――。
ミンミ、ロンコ、エマ、3人の少女たちによる冒険物語。 舞台はアマゾンの秘境ではなくフィンランドの平凡な日常だけど、そこには新しい出会いと発見があり、未知の扉を開く勇気と決断が迫られる。不器用で純粋な3人は失敗も沢山するけれど、その度に逞しくなっていく姿のなんとまぶしいことか。
見終わると映画丸ごと抱きしめたい気分にさせられる。
たった3度の金曜日でも、大人と17歳から18歳の少女では、体感がまるでちがう。 彼女たちと、一喜一憂を共に感じながら見ました。
自由でジェンダークィアな青春映画の『ガール・ピクチャー』は、一人一人の不完全さも愛してくれる、そんな映画だと思います。
頭でわかっているのに口から出る言葉はずれてしまう。 心が感じていることに素直になれず、身体は想いとは逆方向へ。 全部が思い通りにうまく動いたら、どんなにいいだろうか。 そんな10代の記憶が蘇る。
しかし大人になった今、そんなもどかしさすら愛おしく ああ、本当は今だって もっともっともがけるはずだと思い出させてくれる時間。
ヒリヒリするような孤独も、バカバカしい空騒ぎも、みんなみんなまぶしかった! でも、経済状況やジェンダー観が違いすぎる日本だったら、同じように〈自分探し〉ができただろうか……。 すべての若者が存分にトライアンドエラーを繰り返せるような社会にしていくことこそ、 私たち大人が果たすべき責任ではないでしょうか。
大人になって色々知りすぎてしまった私たちは恋愛も人生も、 なんでもラベリングして考えがちだけど、本当はもっと自由なのかもしれないと思った。