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それは俺がやった。それも俺がやった。

ヘンリー HENRY Portrait of a Serial Killer

感情完全欠落。ただの作業として殺した、無慈悲の極致ヘンリー・リー・ルーカスの冷徹な日常──絶対恐怖の到達点。 監督・製作・脚本:ジョン・マクノートン 出演:マイケル・ルーカー、トム・トウルズ、トレイシー・アーノルド、キャム・ヘスキン 1986年|アメリカ映画|カラー|83分|スタンダードサイズ|原題:HENRY: PORTRAIT OF A SERIAL KILLER キングレコード提供 アンプラグド配給

8月28日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開

INTRODUCTION

彼にとって殺しは日常──
理由も情も母の胎内に置いてきた

共感の余地なき
【本物】の恐怖がここにある

1986年アメリカ製作の極めて冷徹な映画『ヘンリー』は完成から数年間、そのあまりの内容に本国アメリカでお蔵入り状態となり、1990年にやっと正式に公開、日本では1992年に劇場公開された。本作の題材となったヘンリー・リー・ルーカスは、70年代後半~80年代にかけて、全米で300人以上を殺害したと云われる連続殺人鬼。ヘンリーの日常を淡々と凍るような冷たさで描いたこの犯罪スリラーは、流血や残虐シーンはほとんどないにもかかわらず、作品の放つ空気と徹底したドキュメンタリータッチで<史上最も恐ろしい映画>のひとつとして映画史に残ることとなった。完成当時、『13日の金曜日』のような観客を楽しませるホラー映画を望んでいた出資会社は、その一切の感情を寄せつけない冷徹な内容に唖然、さらにはMPAA(アメリカ映画協会)によりX指定を受けたことで数年間正式な劇場公開が見送られた。近年、日本では限定的に上映されていたが、今回が満を持しての初正式リバイバルとなる。監督をつとめたのは、これが初長編監督作となったジョン・マクノートン。10万ドルという低予算のなか、一切の娯楽要素を排除してひたすら殺人者の日常を映し出し、凍てつくような空気感を創り上げた。マクノートンは本作がきっかけで、マーティン・スコセッシの目に留まり『恋に落ちたら…』(93)でメジャースタジオ作の監督に抜擢、1998年にはケヴィン・ベーコン、マット・ディロン出演の『ワイルドシングス』も手掛けている。

観客は言葉を失い
映画史には名を刻んだ

マクノートンはこの実在するヘンリーを描くために数々の調査を行ったが、「全てが見事に矛盾していた。人間の本質は誰にもわからない」という結論に至った。そうして、具体的な理由やきっかけが不明なまま、感情の読み取れない表情の男が次々と人を殺めていく物語が誕生した。完成後、最初に行われた試写会では、終映後も観客たちは数分間ただ沈黙したという。マクノートン監督が捉えたヘンリー像の得体の知れなさが唯一無二の恐ろしさと余韻を残し続け「80年代で最も印象的な監督のデビュー。マクノートンはガス・ヴァン・サント以来の優れた人材と言われ、「観る者を困惑させ、観た後も、闇のような怖さがつきまとう」「深い不安を呼び起こす」といった、画面に映るもの以上のものを心に増幅させる一本である。実際日本でも過去、場内満席にもかかわらず上映後一切の会話もなく静まりかえり、出口に並ぶ観客は全員肩を落とし、連動して首がうなだれた結果、その視線の先には床しか映っていない様子が記録されている。

マイケル・ルーカーの
空虚で質量ある演技

ヘンリー役を演じたのは、本作が映画デビューとなったマイケル・ルーカー。本読みの時点で即決だったという彼は、一見すると無骨ながら繊細さも持ち合わせていそうである男を、奇をてらうことなく着実に演じ上げた。素性が不明瞭で、瞳はどこを見つめているかわからず、それでいて普通の人間かのような振る舞いもする──しかし確実に殺人者である。この「わからなさ」が本作の普遍性を高め、忘れ得ぬ存在へと昇華させている。マイケル・ルーカーはその後、『シー・オブ・ラブ』(89)、『クリフハンガー』(93)などで出演を重ね、近年では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(14-)のヨンドゥ役としても知られ、個性派俳優として活躍している。

STORY

“ いつも同じで いつも違うのさ ”

14歳の時、虐待を繰り返す母を殺害したヘンリーは、相棒のオーティスと、その妹ベッキーとの奇妙な同居生活を始める。だがヘンリーは、次第に本能的ともいえる殺人への衝動が抑えられなくなっていく。そしてヘンリーに惹かれ、自ら迫るベッキーの様子を見たオーティスが嫉妬、共同生活は惨劇と化していく。

STAFF & CAST

COMMENT

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