ベルリン国際映画祭でグランプリ&男優賞をダブル受賞!アジアの新たな才能に世界が驚嘆したクライム・サスペンス
2014年の第64回ベルリン国際映画祭、世界中からその会場に集った業界人やジャーナリストは、アジアの新たなる才能が放ったクライム・サスペンスに熱狂の拍手を贈った。ウェス・アンダーソン監督作品『グランド・ブダペスト・ホテル』(審査員特別賞)、リチャード・リンクレイター監督作品『6才のボクが、大人になるまで。』(監督賞)といった強力なライバルを抑え、中国の新鋭監督ディアオ・イーナンの長編第3作『薄氷の殺人』がコンペティション部門の最高賞たる金熊賞と男優賞をダブル受賞したのだ。その先鋭的なオリジナリティに満ちあふれ、観る者をめくるめく現実と悪夢の狭間へと誘うノワールな映像世界は、『殺人の追憶』のポン・ジュノ、『罪の手ざわり』のジャ・ジャンクーらに続く並外れた大器の登場を予感させる。
物語は1999年、中国の華北地方で発生したバラバラ殺人の謎をめぐって展開していく。ひとりの男の切り刻まれた死体の断片が、6つの都市にまたがる15ヵ所の石炭工場で次々と発見されるという世にも奇怪な事件。私生活に問題を抱えた刑事ジャンが捜査を担当するが、容疑者の兄弟が逮捕時に抵抗して射殺されたため、真相は闇の彼方に葬られてしまう。そして2004年、しがない警備員となったジャンは、5年前と似た手口のふたつの殺人事件を警察が追っていることを知り、独自の調査に乗り出す。被害者たちは殺される直前、いずれも若く美しいウーという未亡人と親密な仲だった。それは単なる偶然なのか、それともウーは男を破滅に導く悪女なのか。そしてジャンもまた、はからずもウーに心を奪われていく……。
Comments are closed.